2021年3月12日の記憶

人生で一番最初に好きになって、ジャニオタ街道を走るきっかけにもなったグループが解散することを告げられた。

あまりにも唐突で、だけど何処かでわかっていたような気もして、でも受け入れるにはあまりにも大きすぎる衝撃だった。

 

「大切なお知らせ」メールを確認したのは15時半を少し回った頃で、16時まで在宅ワークだったわたしはもうこの時点で退勤したも同然なくらい仕事に何も手がつかなかった。正直まともな引き継ぎをした記憶さえもない。

 

TwitterでV6と検索してみると(しなきゃいいのに)みんな同じように動揺してる。

ライブや新曲、嬉しいお知らせはいつもavexからだった。メールなんて来たことない。「大切なお知らせ」で吉報だったこともない。そんなことばかりがTLを走っていく。ああそうだろうなとこの時点で察する自分。いやきっとなにか嬉しいことがとそれでも期待していたい自分。心臓が痛くて仕方なかった。

 

16時。震える指でFCサイトを更新した。

 

「僕たちV6は解散します」

 

せめて、せめてこの言葉が一番最初に彼らから告げられたものでよかったと思った。それと同時に一切の物音さえも聞こえなくなるほど自分が世界に一人ぼっちになってしまったような感覚にもなった。

 

V6が。あのV6が。解散。

文字の上を目が滑っていくようで、最初はあまり内容が頭に入らなかった。でも読んだ。全部読み終わってから動画の再生ボタンを押すと、そこには当たり前だけどV6がいて、ああV6だ、6人だって。この当たり前がもうあと7ヶ月後にはいなくなるといまさっき知ったばっかりなのに。

 

動画は、至って和やかな雰囲気で、それでも大切なことを沢山沢山話してくれた。2019年春頃から話し合いを重ねてきたこと、一人一人が自分とグループと向き合ったこと、メンバーとも向き合ったこと、人生を見つめたこと。

その上で、解散という選択をしたこと。

 

当然悲しいし、辛いし、いやだし、やだー!ってTwitterで喚き散らかしたし、その感情に変わりはないんだけど、でも動画で語る彼らを見て思ったことは「納得」だった。

 

元々期間限定ユニットとして組まれて1年やそこらで終わると思っていたグループが、蓋を開けてみれば25年以上も続いたのは間違いなく彼らがアイドルである事を選んでくれていたからなんだけど、その選択だっていつもすんなり決められたわけじゃなかったはず。

それぞれが活動を続けていく中で見つけたひとつの「幕引きの場所」がここだったんだと、どうしようもなく頷いてしまう自分がいた。

 

終始明るく和やかな雰囲気だった報告動画。

「もしかしたら一人でこれを見ている方もいるかもしれません」「決して仲が悪くなったわけじゃないんだよ」「色んな憶測が流れるかもしれない。だから最初に自分たちの言葉で伝えたかった」「何よりも心配なのはファンのみんなが悲しい思いをしてしまうこと」「事務所を退所して芝居の道で頑張っていきたい」「V6でいたことは誇りだし、ファンのみんなにも誇って欲しい」………宝物みたいな言葉ばかりが並べられていた。憶測されてその被害を一番被るのは自分たちなのに、それを目にするファンのことを心配する優しい人達がそこにいた。

「最後のアルバムをつくりたい」「全国ツアーも回りたい」………希望の光をちゃんと灯してくれた。

 

どこから何をどうみたって、大好きなV6はそのまま大好きなV6のまま解散を選んだんだと思わざるを得ない内容と雰囲気だった。V6の6人が本当に「V6」のことを大事に思っているからこその解散という選択だったんだと思った。

そんなの、どれだけ悲しくたって「2021年11月2日からの新しい道を歩む6人も全力で応援するし大好きだよ!!!!!!!!」って言うに決まってるじゃんね。

 

2019年春時点で解散というひとつの到達点が見えていたということは、あらゆるものがその伏線だったんだろうなと今になればわかる気がする。全部後出しジャンケンなんだけどね。

シングルCDについてた隠しコードも実はこれの発表のためだったのかなあとかちょっとだけ思ったりもした。だとしたらあまりにも心臓に悪すぎるから2020で使わず延命治療してくれてよかったよ。でも絶対どっかで使ってくれよな。

full circleだってクリアだって、解散を見越した上での楽曲だったんだろうかと思うと、それでなくたってめちゃくちゃ特別だったのにあまりに儚くて美しくて苦しい。周年ソングでもあったかもしれないけれど、それと同時にあれはひとつのグループとしてケジメをつける歌だったのかと。そんな楽曲で「奥底で繋がる6人の男たち」と歌われた日にはもうそら坂本くんのタップばりに地団駄を踏んで大地に穴を開けるでしょうよ。

 

今回の解散報道で改めて強く感じたのは「V6は6人でV6」「1人でも欠けたらそれはV6じゃない」というのがこの6人の総意であり、そのスタンスは恐らく昔からずっと変わらなかったんだということ。

このタイミングじゃなかったとしても、例えば誰かが20周年で解散したいと言えばそうなっていただろうし、それを「いやいや25周年までは」なんて無理に引き止めるような人達でもない。

優しすぎるくらいに優しい人達の集まりだから、個々の考えや人生を尊重したがっただろうし、それと同じくらいわたしたちファンのこともすごく大切にしてくれた。

 

そうやって、V6とファンが一緒に作り上げてきた25年という長い歴史の終止符を打つという決断は、どれだけ大きかっただろう。この動画を撮ることも、出すことも、どれだけ不安だっただろう。

 

みんなから好き勝手弄られつつも、やっぱり頼りになる唯一無二のV6リーダー坂本くん。2年前に膝の手術をしたのは、勿論まだまだ踊れるようにとの想いからというのもあるだろうけど、この日に解散することがある程度見えてきていたとしたら。

多くを語ることがなく、それでも語らないことに意味があるとメンバーに言われる長野くん。配信ライブでのサプライズで涙を堪え言葉に詰まりながら一言一言噛み締めるように話すのがとても珍しくて、それはきっともう未来が見えていたからで。

地球上の誰よりも優しくて、ホラ吹き野郎と揶揄される井ノ原くん。みんなに話を振りながらそれぞれの想いと言葉を引き出して、暗くてしんみりした空気にならないように立ち回ってる姿を見ながら「いい空気にしてくれる奴でいなきゃ」という言葉を思い出した。井ノ原くんだって不安がなかった訳じゃないだろうに。とても器用で、不器用で。

クールな見た目と裏腹に暖かくて優しいシャイな森田くん。彼が口を開くまで少し時間があったにも関わらずそれまで誰も彼が退所することを言わず、彼の口から初めて退所を告げられた。昨年ある番組で違うグループに入るならという問にすぐさま「V6がいいよ」と答えたのは他でもない、この森田剛だ。人見知りで群れるのだって好まないはずだけど、例え袂を分かつ時が来たとしても5人との確かな信頼関係は間違いなく確固たるものでしかなくて。

誰よりもファンファーストでアイドルの鑑的存在の三宅くん。一番端に立っていた彼はいつもの井ノ原節に乗ることもなく、喋ったのは話を振られた時だけ。穏やかな表情なのにとても悲しそうで、その表情の理由が「この動画を今見ているファン」を思い浮かべてのものだったとしたら。

反抗期からデレ期まである意味一番色んな姿を見せてきた岡田くん。アイドルであることに迷いや反抗心があったと、そしてその反抗期が終わるきっかけはメンバーの言葉だったと自ら語り、「誰にも理解してもらえないかもしれないと思いながらやっていた、でも違ってたね」って言う言葉でどれだけのファンが報われたと思ってるんだろう。ライブ配信中もずーっと写真を撮っているのを見て「ほんと好きだなあ」って笑いながら思ってたけどそれもこれも本当は全部。

 

何度でも言うけれど、今回の選択は彼らがV6というグループを、場所を、心底愛しているからこその決断だと思っている。6人でいるからこそのグループであり、一人でも欠けたらそれはV6ではない、だからこそ誰一人欠けることなく6人が揃っている状態で、V6がデビューしてから26回目の11月1日に幕を閉じることにした。

 

これはTwitterでたまたま目にしたツイートで見て知ったんだけど、今日3月12日は3+1+2=6でもあるし×1×2=6でもある、解散報告時間は16時でこれも1×6=6、そしてデビュー日であり解散日である11月1日までの残り日数は223日でV(2)6(2×3)なんだね。ここまで「6」という数字を大事にしてくれるってさあ、もうさあ…。そしてそれに気付くファンの愛の大きさだよ………。なんなの本当………。

 

11月2日以降、あの6人が並ぶ画も、6人が歌い踊る姿も、更新されなくなるなんて信じられないし本当に寂しい。嫌だ。嫌だ。嘘だと言ってと駄々を捏ねたい。でも。だけど。

 

他の誰でもない彼らが選んだ道を応援したい。それが自分なりに今出せる結論だ。

 

例えグループが解散してしまってもわたしは一生V6が好きだし、V6としての軌跡を肩を並べ歩いてくれた6人が好きだ。好きだったなんて過去形にはしない。

あまりにも優しい彼ららしさの溢れる幕引きのその日まで、残り223日。それまで目一杯グループとしてのV6を余すことなく推させてください。

 

でもいまは、まだ少し泣かせて。

 

 

2021.03.12